青色申告ってやっぱりお得なの?白色でも別に良い?

これから個人事業を始めるのですが、青色申告と白色申告のどちらにすればいいですか?

  • 結論:会計ソフト入れて青色65万円控除を受けるのが最良。
  • 青色申告をすると、10万円又は65万円の控除が受けられる。白色申告は特典なし。
  • 青色65万円控除のためには複式簿記で記帳が必要。

青色申告の65万円控除を受けないなら、事業所得にする必要がない。

青色申告で65万円控除を受ければ、税率が20%であれば13万円、30%であれば約20万円納税額が減ります。追加の支出がなく税金を減らせるんです。こんなお得な制度を使わないなんて考えられません。iDeCoとか、NISAとか、小規模企業共済とか言う前に、青色65万円控除を受けることが何よりも節税に役立ちます

現時点(2020年2月)で、弥生・マネーフォワード・freeeあたりの名の知れている会計ソフトを使えば、白色か青色かで申告書作成の手間はほとんどかわりません。なぜなら、日常の仕訳入力さえ終わらせていれば申告書作成は会計ソフトが行ってくれるからです。たとえば、freeeであれば日常の仕訳は複式簿記で作成し、確定申告書を作成する段階で「白色」「青色10万円控除」「青色65万円控除」を選択できるようになっています。あくまでも65万円控除をベースに帳簿を作成しておいて、あとはユーザーの選択に任せるような形式です。

ということで、事業所得(不動産・山林所得)があるのに白色申告なのもったいないよ!という前提で、白色申告と青色申告の違いを見ていきましょう。

白色申告と青色申告の違い

白色申告と青色申告の違いは大きく3つです。

  1. 青色申告で確定申告をする届出書を出したかどうか
  2. 「収支内訳書」を作成したか、「所得税青色申告決算書」を作成したか
  3. 取引をどのように帳簿に記録したか

手続編:青色申告承認申請書の提出

青色申告を行うためには、「青色申告承認申請書」を3月15日まで(開業初年度で1月16日以降に開業した場合には開業から2月以内)に所轄の税務署に提出する必要があります。これを出していない人は白色申告しか選択できません。

反対に、「青色申告承認申請書」を提出しておいて、白色申告をするのはOKです。

作成する確定申告書

白色申告と青色申告で、作成する「確定申告書」は同じですが、1年間の事業の結果をまとめる書面に違いがあります。

白色申告の場合には「収支内訳書」を使用します。青色申告の場合には「所得税青色申告決算書」を使用します。それでは、白色申告の「収支内訳書」と青色申告の「所得税青色申告決算書」の違いはどこにあるでしょうか?
※文が冗長になるので、以降の文では「所得税青色申告決算書」は「青色決算書」と略記します。

申告書を並べて比較すると、大きな違いは貸借対照表(および「製造原価の計算」)を作成するかどうかです。それ以外の細かな違いを並べると

  • 収入(売上)金額と仕入金額について、白色では相手先別の明細を作成するのに対し、青色では月別の明細を作成する。
  • 青色には、青色申告をすることにより受けられる貸倒引当金・専従者給与・特別控除について記載する欄がある。

という程度のものです。

ちなみに、青色10万円控除であれば貸借対照表は不要となります。そのため、白色申告との違いは上記の2点だけになります。ほぼ同じですね。

こちらが白色の「収支内訳書」で作成する相手先別の明細です。年間の売上・仕入の合計を記載するだけです。

こちらは「青色決算書」で作成する売上と仕入の月次明細です。月次の合計額を記載するだけですので、書く量は「収支内訳書」よりも増えていますが、労力自体は大して変わりません。

「青色決算書」で貸倒引当金を計上する場合にはこちらの計算表に数字を記入します。債権がほとんどなく、貸倒引当金を計上しない場合には空欄でOKです。

こちらも「青色決算書」だけにある、特別控除額の計算表です。個人事業主で、不動産所得がなく、10万円控除を受ける場合には、⑦と⑨に数字を入れることになります。⑨には、100,000か⑦に入れた数字のどちらか少ない方を入力します。

65万円の控除を受けるためには、こちらの「貸借対照表」を作成する必要があります。

「作成する」というとちょっとハードルが高そうな気がしますが、そんなことはありません。複式簿記で帳簿を正しくつけていれば、仕訳を集計するだけで作成できます。貸借対照表と損益計算書を一度に作るためのツールが複式簿記です。

作成する帳簿

白色申告

初めに書いておきます。
白色申告の場合でも

  • 記帳が必要です。
  • 帳簿や請求書・領収書の保存が必要です。

過去、白色申告の場合には帳簿の保存義務がありませんでしたが、平成26年1月から記帳と帳簿書類の保存が必要となりました。

白色申告用の帳簿、青色申告における簡易な簿記の様式については、明確な規定はありません。そこで、国税庁が公表している「帳簿の記帳の仕方」で例示されている帳簿を参考にするのが良いでしょう。

青色申告

青色申告の65万円控除を受けるためには、複式簿記の方法によって、

  1. すべての取引を仕訳帳に記帳すること
  2. すべての取引を総勘定元帳に記帳すること
  3. その他必要な帳簿を備えること

が必要になります。
これ以外の方法(簡易な記録の方法及び記載事項)による場合には、青色申告10万円控除となります。

さて、10万円控除の「簡易な記録の方法及び記載事項」(以下、「簡易的な方法」と略記)とはなんでしょうか?あまり認知されていませんが、実はどんな帳簿を作成すべきか明らかにしている文書(告示)があります。長い名称ですが、

所得税法施行規則第五十六条第一項ただし書、第五十八条第一項及び第六十一条第一項の規定に基づき、これらの規定に規定する記録の方法及び記載事項、取引に関する事項並びに科目を定める件

というものです。さて、この告示では、「簡易的な方法」のときは次の項目について記録をすることが求められています。それぞれについて、取引年月日、相手方、単価や金額、品名等について記録することが求められます。

  1. 現金出納に関する事項
  2. 売掛金に関する事項(売掛金と同様の性質を有するものを含む)
  3. 買掛金に関する事項(買掛金と同様の性質を有するものを含む)
  4. 減価償却資産に関する事項(繰延資産を含む)
  5. 売上に関する事項(売上と同様の性質を有するものを含む)
  6. 売上以外の収入に関する事項
  7. 仕入に関する事項
  8. 仕入以外の費用に関する事項

上記の5番〜8番について具体的に記録をする際は、白色申告の帳簿例(上記参照)を用いることが可能であると考えられます。

一方、1〜4は資産・負債に関することです。該当する資産・負債がない場合には作成は不要ですが、該当する資産・負債があるのであれば作成は必須です。まれに、「白色申告と青色10万円控除は、作る帳簿は全く同じ」というような意見を見ることがありますが、このように明確な違いがあるのでご注意ください。

補足

過去に、複式簿記で記帳を行なっていて貸借対照表を添付した確定申告書を提出してはいるが、一部の取引について記帳を行なっていなかった(仕訳帳・総勘定元帳に記帳された取引が網羅的ではなかった)ことから65万円控除が認められず、10万円控除とされた事例がありました。

違いのまとめ:白色 vs 青色10万円控除 vs 青色65万円控除

ここまでに書いたことをまとめたいと思います。

提出する届出書

白色:なし

青色:青色申告承認申請書

収支内訳書と青色決算書の違い

青色65万円控除:貸借対照表を作成する。

白色・青色10万円控除:貸借対照表は不要。それ以外の記載事項はほとんど同じ。

帳簿に記録する項目

白色:収入金額・必要経費

青色10万円控除:収入金額・必要経費・現金出納・売掛金・買掛金・減価償却資産

青色65万円控除:すべての取引

白色・青色10万円・青色65万円どれにしよう……?こんな悩みは会計ソフトが全て解決してくれる

個人事業をこれから始める人にとって、白色・青色10万円・青色65万円のどれを選択するかは難しい問題だと思います。特に、「簿記の知識はないけど青色65万円取りたい……勉強する時間を確保できるか……?」と、これからの時間の使い方に悩む人も多いでしょう。

でも安心してください。会計ソフトが全て解決してくれます。
最近の会計ソフトは優秀です。弥生・マネーフォワード・freeeあたりを選んでおけば、青色65万円に対応した確定申告書類を会計ソフトが作ってくれます

簿記の知識が不足していても、たとえばfreeeならパラメーターをいくつか選択すれば仕訳を自動で作成してくれますので、簿記をあらためて勉強する必要はありません。

青色65万円の控除を受ける場合で、ザックリと税率が20%だと考えれば、納付する税金が13万円減ることになります。個人用の会計ソフトの相場はだいたい1万円〜3万円程度ですので、青色65万円控除を受けられれば十分に元が取れます。確定申告作業の時間も減り、浮いた時間を事業に投下できます。

悩むくらいなら会計ソフトを入れて青色65万円控除!これが今日の結論です。

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