開業するときにどんな書類を出せば良いの?(個人事業編)

今までサラリーマンをしていましたが、今年から個人事業主として活動を始めます。色々と書類を出さなくちゃいけないらしいんだけど、わからないのでまとめて教えてくれませんか?とりあえず開業届だけ出しておけばOK?

  • 開業すると、税務署、市区町村の役所社会保険事務所等に書類の提出が必要となる。
  • 提出が必須の書類、条件を満たしたときに提出が必要になる書類がある。

個人事業のスタート! → 書類提出祭りの開催

個人事業を開始して最初にすることは何でしょうか?

つまらない書類作業を一気に片付けることですね!
ここで必要な書類をザッと学んで、書類作業をとっとと終わらせ、ビジネスに集中しましょう♪

提出先:税務署

提出必須の書類

開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)

提出期限

事業開始日から1月以内

どんな書類か?

個人事業をスタートしたことをお知らせする書類です。

どこで事業をするか?どんな内容の事業か?従業員数は?関与税理士は?
といったことを書き連ねる書類となっています。

この書類を提出しておくと、無料の記帳相談会のお知らせや、確定申告時期には申告書(紙面)が送られてきます。

必要な場合に提出する書類

所得税の青色申告承認申請書(又は、所得税の青色申告承認申請書(兼)現金主義の所得計算による旨の届出書)

提出期限

青色申告により申告をしようとする年の3月15日まで。

なお、青色申告により申告をしようとする年の1月16日以降に事業を開始した場合は、事業開始日から2月以内

レアケースで、事業を相続した場合については別の規定あり(詳細省略)

どんな書類か?

青色申告の承認を受けるための書類です。

青色申告の承認を受けることで、事業所得の計算において特別控除を受けることができます。
この書類を提出しないと白色申告となり、控除を受けることはできません。

『6 その他参考事項』の部分では、65万円(2019年の所得の確定申告を前提)の控除を受けるのであれば、以下の項目を選択しましょう。

  • (1)は『複式簿記』
  • (2)は、『総勘定元帳』と『仕訳帳』

なお、この書面については、12月31日までに処分の通知(不承認の旨の通知)がなければ承認されたものとみなされます。承認の通知は来ないものと考えておいてOKです。

青色申告のハードルは高い?

さて、「青色申告のハードルは高い」という意見をよく聞きますが、まったくそんなことはありません。最近は会計ソフトが非常に優秀です。必要な項目をいくつか入力するだけで仕訳を作成してくれて、試算表も貸借対照表も損益計算書も全部作ってくれるソフトもあります。

会計ソフトを使えれば青色申告のハードルは低い!

あらいさんはこのように考えます。

青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書

提出期限

青色事業専従者給与を経費にしようとする年の3月15日まで。

なお、1月16日以降に事業を開始した場合は、事業開始日から2月以内

どんな書類か?

青色事業専従者とする人について、氏名や仕事内容、給料・賞与の額等を届出る書類です。また、他の従業員の給料等も合わせて記載する必要があります。

この届出書がないと、家族(生計を一にする者)に対する給料は、事業所得の経費にできません。この届出書を出すと、届出書に記載した金額の範囲内で経費とすることができます。なお、税務調査を通じて、仕事内容や他の従業員との比較等により多額だと判断されると、経費として認められる額は届出書に記載紙が金額を下回ることがあります。

現金主義による所得計算の特例を受けることの届出書

提出期限

適用を受けようとする年の3月15日まで。

なお、1月16日以降に新たに事業を開始した場合には、開業した日から2月以内

※対象者は小規模事業者の要件を満たす青色申告者に限ります。

どんな書類か?

現金主義で所得の計算(収入金額と必要経費の記帳)を行うために提出する書類です。
この書類を提出していないと、『発生主義』で記帳をすることとなります。

補足:現金主義とは?

「現金主義???」って感じになりますよね。ザックリと説明しますね。例えばライター業をイメージして欲しいんですけど、2020年12月に原稿を納品するとします。そして、納品に対する入金は2021年1月だとします。このとき、

  • 12月に売上(収益)を計上するのが『発生主義』→2020年の所得計算に含める
  • 1月の入金時に売上を計上するのが『現金主義』 →2021年の所得計算に含める

となります。

原則は『発生主義』です。サービスの提供が完了した時点で売上(収益)を認識します。
一方で、一定の要件を満たす小規模な事業者の場合には、この届出を提出することで『現金主義』(入金時に売上を認識する方法)でその年の儲けを計算することができます

なお、収入を例に説明しましたが、経費も同様です。
例えば事務所家賃について「2021年1月分を2020年12月末までに支払う」という状況では、発生主義では2020年の経費にならない(翌年1月に事務所を利用することで経費となる)のですが、現金主義では支出のあった2020年の経費となります。

所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産の償却方法の届出書

提出期限

確定申告期限まで。

どんな書類か?(所得税の棚卸資産の評価方法)

商品を仕入れて販売するような事業では、12月31日時点で売れていない商品はその年の経費にできません。「商品」として資産に計上する必要があります。

このとき、1品1品の商品に『いくらの値段をつけるか?』という方法が、棚卸資産の評価方法です。

原則は『最終仕入原価法』です。届出をしないとこの方法になります。最終仕入原価法では、その年の最後の仕入を行ったときの単価を、売れ残った商品の個数に掛け算して「商品」勘定をいくらにするか決めます。

届出書を提出することで、他の評価方法(先入先出法、移動平均法、総平均法等)を選択することができます。

どんな書類か?(減価償却資産の償却方法)

固定資産を購入した場合、一部の例外を除き、購入した年に一括して経費とすることができず、何年間かかけて経費にします。

このとき、『毎年の経費の額』を決める方法が、減価償却資産の償却方法です。

資産の種類により原則的な償却方法が決まっています

届出書を提出することで、他の評価方法(定額法、定率法等)を選択することができます。

所得税の(有価証券・仮想通貨)の評価方法の届出書

提出期限

確定申告期限まで。

どんな書類か?

事業所得となる有価証券の売買や仮想通貨の売買をしている人が、総平均法以外の方法で、有価証券、仮想通貨の評価をするために提出する書類です。

有価証券の種類・仮想通貨の種類ごとに提出をする必要があります。

消費税課税事業者選択届出書

提出期限

事業を開始した年:その事業年度の末まで(個人事業主は12月31日まで)

事業を開始した年の翌年以降:その事業年度の初日の前日まで

どんな書類か?

この書類を提出することで、消費税の申告義務が生じる『課税事業者』となります

個人事業主は、事業を開始して最初の年と、その次の年は、何もしなければ『免税事業者』(消費税の申告をしなくていい事業者)です。現在(2020年2月)適用されている法令では、免税事業者は消費税を受け取っても、消費税の確定申告は不要とされています。

多くの個人事業主はこちらの書面を提出することはないと思いますが、例えば初年度の固定資産投資が多くて還付が見込まれる場合などには、提出することがあります。

課税事業者になると、2年は免税事業者になれません(他にも戻れない要件あり)。初年度の還付額と、免税事業者に戻れない期間の納付額のシミュレーションをして、提出するかどうかを決めることとなります。

源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

提出時期

特にきまりなし。ただし、提出した日の翌月に支払う給与から適用。

※支給人員が常時10人未満である必要があります。

どんな書類か?

源泉徴収義務がある場合には、従業員に対する給料や税理士等に対する報酬について、支払時に源泉所得税の徴収をして翌月10日までに納付する必要があります。

この申請書を提出することで、毎月の納付を年2回の納付に変更することができます。

その他

上記以外にも、棚卸資産の評価や減価償却において特別な方法による場合、上記の届出の内容を変更する場合、帳簿等を電磁的記録等で保存する場合などは、届出書の提出が必要となります。
フリーランスとして活動し始めてすぐにはあまり関係のないことだと思いますので省略しますね。

提出先:市区町村の役所(必要な場合のみ)

国民健康保険の加入手続き

提出期限

届出事由が発生してから14日以内

社保→国保は自動で切り替わらないので注意!

サラリーマンから個人事業主になる方は特に注意!これまで加入していた社会保険を脱退しても、国民健康保険には自動的に切り替わりません!

市区町村の役所等で自分で手続き(または対応する部署に書類を郵送)する必要があります。

必要となる書類や手続き場所の詳細は、ご自身が住んでいる自治体のHPをご確認ください。

提出先:社会保険事務所(必要な場合のみ)

健康保険・厚生年金保険新規適用届

提出期限

事実発生から5日以内

提出が必要な個人事業主

常時5人以上の従業員を雇用している個人事業主

どんな書類?

個人事業主の場合でも、常時5人以上の従業員を雇用している場合には、事業所として社会保険に加入する義務があります(サービス業の一部(クリーニング業、飲食店、ビル清掃業等)や農業、漁業等は除く)

「個人事業=国保」というイメージが強いですが、社会保険の手続きが必要になる場合もあるということは覚えておく必要があります。

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