個人事業ってどんな税金がかかるの?

今年から個人事業主として事業を開始します。儲けが出れば所得税がかかることは知っていますが、他にかかる税金ってありますか?

  • 儲けに対してかかる税金と、儲けなくてもかかる税金がある。
  • サラリーマンのときと同様に、所得税、復興所得税、住民税がかかる。
  • 個人事業特有の税金として、消費税個人事業税償却資産税等がある。

日本の税金はだいたい◯◯種類もある!

日本にはどれくらいの種類の税金があるか知っていますか?

実は、だいたい50種類の税金があるんです!「だいたい」とちょっとぼかしているのは、たまに増えたり減ったりするからです。

さて、この50種類の税金のうち、個人事業主は何種類の税金を納めるでしょうか……?
答えは1つに決まりませんよね。事業内容も、保有している資産も違うので、どんな税金を収めているかはそれぞれ異なります。

とはいっても、次の5つの税金は相当数の個人事業主が負担していると思います。

  • 所得税及び復興特別所得税
  • 住民税
  • 個人事業税
  • 消費税
  • 償却資産税

知らずに申告漏れをしている人もいるかも……?ということで、それぞれ解説していきます。
時間がない人で、「個人事業税……?」と思った方は個人事業税の項目だけはチェックしてください!

個人事業主にかかる主な税金を解説!

所得税(復興特別所得税)

所得税(復興特別所得税)まとめ

課税期間:1月1日〜12月31日

申告期間:2月16日〜3月15日(祝日等の関係で前後することあり)

税金概要:「所得」(利益)に対して課される税金。所得が増えると税率が高くなる。

個人事業主の「確定申告」といえばこれ!

というくらいに有名ですよね。所得税及び復興特別所得税の確定申告を知らない個人事業主は、相当レアだと思います。知っている人の方が多すぎると思うので、今回は深く踏み込みません。次の住民税以下の各税金に注目してください。

住民税

住民税まとめ

課税期間:1月1日〜12月31日

申告期間:2月16日〜3月15日(祝日等の関係で前後することあり)

税金概要:一般的には所得税で計算した所得をもとに算出される税金。均等割(所得に関係なく負担する税金)と所得割(所得の金額をもとに計算する税金)がある。税率は住んでいる地域により異なる場合がある。

多くの場合は所得税の確定申告と同時に完了

所得税の確定申告書を作成したことのある人は、申告書の下の方に「住民税に関する事項」のような項目が出てくるページがあることに、「おや?」と思ったことがあるかもしれません。

「なんで所得税の申告書を作っているのに、住民税??」と疑問をもつ人もいると思いますが、実は所得税の確定申告と一緒に住民税の確定申告も済ませているんです。使っている情報がほとんど同じなため手間を省いているんですね。

レアケース:住民税の確定申告

それでも、一部の人は住民税の確定申告をする必要があります。個人事業主に限ってみれば、税金が1円でもでるなら(端数処理するから本当は「100円でも出るなら」が正しい)、所得税の確定申告を行うので、住民税の確定申告は不要です。

よくある申告漏れは、「配偶者の扶養に入るためにパートの給与収入を103万円に抑えたけど、98万円を超えちゃった。年末調整もしていなかった。」というパターンです。所得税の基礎控除(令和元年分)は38万円なのに対し、住民税の基礎控除は35万円です。この差額の5万円が効いてきます。パートで年末調整をしていない人は気をつけてください。

ちなみに、会社は給与支払者の住んでいる自治体に対して「給与支払報告書」という書類を作成して提出しています。「給与支払報告書」を見れば年末調整をしていなくて給与収入98万円超の人がいることは、自治体側はすぐにわかります。現在はeLTax(エルタックス)を使った電子申告が増えており、かつ個人番号で紐付けも容易になっているので、住民税の申告漏れの発見も簡単になってくるのではないかと思います。

個人事業税

個人事業税まとめ

課税期間:1月1日〜12月31日

申告期限:3月15日(所得税・住民税の確定申告をすれば申告不要)

税金概要:所得税の事業所得(不動産所得)を元に、所得税と個人事業税の制度の差を調整して計算される税金。調整した金額が290万円以内であれば課税されない(事業主控除。なお、事業期間が12か月未満の場合はその分減額)。

忘れられがちな個人事業税

所得税の確定申告と納付をすませ、ほっと一息。
6月ごろに住民税の通知が来て、「あぁそうか、住民税も払うのか……」と、ここまでは投資をしているサラリーマンでも経験のあることだと思います。

ただ、個人事業主はこれで終わりではありません。
8月に個人事業税の通知が送られてきます。忘れてほしくないので赤字にしておきます。

なぜ「忘れられがち」なのかというと、「個人事業税の申告」をしないからです。もう少し正確にいうと、所得税の確定申告を行うと自動的に個人事業税の申告も完了しているからです。申告書を作らずに終わっているんです。そのため、自身が申告をしていることにも気づかず、8月を迎えて「なんじゃこの税金は〜〜!!!」と悲鳴を上げるわけです。

個人事業税の計算方法

ここでは1人で活動しているフリーランス(事業所得のみ)を例に説明します。専従者給与を払っている人等は都道府県のHPを確認してください。

【計算方法】
(事業所得 + 青色申告特別控除 ー 各種控除 ) × 税率 = 個人事業税

ポイントの1つ目は、青色申告特別控除は使えないという点です。あくまでも所得税の制度のため、個人事業税では使えません。

ポイントの2つ目は「各種控除」です。東京都の場合4つの控除があります。

  1. 損失の繰越控除
  2. 被災事業用資産の損失の繰越控除
  3. 譲渡損失の控除と繰越控除
  4. 事業主控除

覚えておくべきは事業主控除です。年間290万円は控除されます。つまり、
【 事業所得+青色申告特別控除 < 290万円 】であれば個人事業税はゼロです。

なお、年の途中で事業を開始した場合には、その分事業主控除は月割(千円未満切上げ)されます。

ポイントの3つ目は税率です。業種により税率が変わります。東京都の場合、3%、4%、5%のいずれかです。

消費税

消費税まとめ

課税期間:1月1日〜12月31日

申告期限:3月31日(所得税と違うので注意!)

税金概要:課税事業者(消費税の申告をする個人事業主)は、受け取った消費税と支払った消費税について、諸々の調整を加えた上で、受け取った消費税の方が多ければ税金を納め、支払った消費税の方が多かったら還付を受ける。

消費税を申告しなければならない個人事業主とは?

消費税を「申告」することに違和感をもつ人は多いのではないでしょうか?普段は払って終わりですもんね。でも「事業主」は最終消費者(消費税を負担すべき人)ではないので、会社等の法人と同様に消費税の申告が必要となる場合があります。

消費税の申告が必要な個人事業主は、次の3つのいずれかに当てはまる人です。

  1. 基準期間の課税売上高が1,000万円を超える
  2. 基準期間の課税売上高が1,000万円以下で、「課税事業者選択届出書」を提出している
  3. 上記1、2に該当しない場合で、特定期間の課税売上高が1,000万円を超えている人(課税売上高の代わりに給与等支払額の合計を用いて判定することもできる)

用語の整理をしておきましょう。

基準期間:今年から見て2年前です。2019年(令和1年)1月〜12月の消費税申告が必要かどうかを判定するための基準期間は、2017(平成29年)年1月〜12月です。

課税売上高:日本の中で、事業として対価を受けて行っている、モノの販売サービスの提供の額の合計額です。言葉は難しいですが、日常何か物やサービスを買った時に消費税を払っているものは、事業者から見れば課税売上となります。例えば、東京の練馬区に店舗のあるパン屋さんが、店舗でパンを販売したらそれは課税売上です。

課税事業者選択届出書:消費税の申告が不要な人が、あえて消費税の申告を必要とする人になるための届出書です。

特定期間:今年から見て、前年の1月1日〜6月30日です。2019年(令和1年)1月〜12月の消費税申告を基準にすると、特定期間は2018年(平成30年)1月1日〜6月30日となります。

さて、個人事業を始めた1年目は、基準期間も特定期間もありません。2年目は、基準期間がありません。個人事業を始めた1年目、そして2年目でも特定期間の課税売上高が1,000万円以下の場合には、消費税の申告義務はあるでしょうか?ないでしょうか?

正解は、「課税事業者選択届出書」を税務署に提出しなければ、消費税の申告義務はありません。消費税の申告義務がない人を、免税事業者といいます。

免税事業者でも、「課税事業者選択届出書」を税務署に提出すれば課税事業者(消費税の申告義務がある人)になれます。

消費税の納税のためにどんな計算をするの?

基本的には、【受け取った消費税ー払った消費税=納付/還付する消費税】です。
受け取った消費税 > 払った消費税 なら納付
受け取った消費税 < 払った消費税 なら還付
となります。

なお、「払った消費税」は業種ごとに決められた「率」を「受け取った消費税」に乗じることで求める簡易課税制度もあります(基準期間の課税売上高5,000万円以下、かつ簡易課税制度の届出が必要)。

再度パン屋さんの例を出しますが、練馬で道行く人ひパンを売っているお店を例に出しますね。パンを作るために材料を国内の業者から仕入れて、道行く人にパンを売っているイメージをしてください。

パン屋さんは、国内業者から材料を仕入れるときに消費税を払っています。道行く人にパンを売るときに消費税を受け取っています。
パン屋さんは、年が明けたら【パンを売ったときに受け取った消費税】から【材料を仕入れるときに払った消費税】を引いて、納付/還付する消費税を計算します。

こう見ると、仕入・売上が国内で完結している場合には計算が簡単なように見えます。もったいぶる必要がないくらい、このようなケースでは消費税の納付額を計算するのは難しくありません。同じように、ライター、士業なども消費税申告は難しくありません。

一方で、消費税のかからない取引(医業、住居賃貸、貸金、など)が事業の中に含まれていると、複雑になります。複数の業種が混ざっている場合には難しいです。詳細は省きますが、税理士でも有利な計算方法を選べなかったり、計算を誤ったりして訴えられるケースがあるくらいに難しいです。

償却資産税

償却資産税まとめ

申告対象:毎年1月1日時点で所有している償却資産

申告期限:1月31日

税金概要:「償却資産」に対して課税される税金。「償却資産」とは、事業で使用される固定資産のうち、土地・家屋以外の、減価償却費が経費となる資産です(一部例外あり)。課税標準額が150万円未満なら申告不要。

さて、最後はあまり聞きなれない人も多いかもしれない償却資産税についてです。
「持っている固定資産はパソコンくらい」というフリーランスにとっては無関係な税金です。
一方、製造業とか、多額の設備投資が必要な飲食業をしている方には忘れてはならない税金です。

償却資産税って何?

名称の通り、償却資産に課される税金です。償却資産の定義について、東京都主税局HPでは次のように書かれています。

償却資産とは、土地及び家屋以外事業の用に供することができる資産で、その減価償却額又は減価償却費が法人税法又は所得税法の規定による所得の計算上、損金又は必要な経費に算入されるものをいいます。

東京都主税局HP https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/shisan/shokyak_sis.html 太字加工筆者

つまり、土地家屋以外で減価償却額が必要経費になる資産のことです。具体例をあげるとキリがないのですが、例えばパン屋を始めるためにパンの調理用機械を固定資産として計上していれば、これは償却資産として申告が必要になります。

一部例外もあります。例えば、自動車は自動車税がかかっているため償却資産の申告が不要です。また、家畜も申告の対象外です(家畜って固定資産に計上して減価償却するんですよ!)

償却資産税ってどんな計算をするの?

ややこしくなる前に言葉の整理をしておきますね。2020年の1月31日が申告期限の償却資産を前提とすると、
・「前年」とは、2019年1月1日〜2019年12月31日に取得した資産です。
・「前年」とは、2018年12月31日以前に取得した試算です。

償却資産税は、課税標準額を元に計算されます。ではこの課税標準額はどのように計算されるのでしょうか?

「前年」に取得した償却資産は、取得価額(買った時の値段)と耐用年数を元に、減価率を乗じて計算されます。このとき、前年のいつ取得されたとしても、その年の真ん中で取得されたものとみなされます。

「前年」に取得した償却資産は、前年の償却資産の申告で計算した課税標準額に減価率を乗じて計算されます。

ちょっとわかりにくいですね。
ザックリと言ってしまうと、課税標準額の計算は法律でカチッと決まっているので人が判断する必要がない!ということです。

償却資産税の申告はどうする?

償却資産税の申告が必要なほど固定資産を保有しているのなら、固定資産管理のためのシステム(ソフト)を利用することをオススメします。多くの場合、会計システムの追加オプションとなっています。

有料で名の知れたシステムであれば、固定資産に関する諸々の情報(取得価額や耐用年数、取得日、償却方法等)を指定すれば、償却資産税申告書を自動で作ってくれますし、減価償却額を会計システムに連動させることができます。

もちろん、申告書に手書きしても大丈夫です。東京都主税局HPにはExcelの様式も掲示されているので、これを元に作成したものを印刷して提出しても大丈夫です。


今回は、所得税(復興特別所得税)、住民税、個人事業税、消費税、償却資産税の5つの税金をチェックしました。特に、個人事業税はその存在をウッカリ忘れてしまう人もいると思うので、もし忘れている人がいたら、この機会に「個人事業税の通知」を8月のスケジュールに書き込んでおいてくださいね!

タイトルとURLをコピーしました